6月11日の第2回マイスキーヴェーチェル《ショスタコーヴィチに捧げる》、無事終了しました!
今回はソヴィエト時代の作曲家ということで、
ショスタコーヴィチと、アルメニア系の作曲家たちを取り上げて演奏致しました。
当日は、演奏前に曲についていろいろお話する時間があって、
下手すると演奏時間より喋りの方が長かったのではないかという疑惑も残りましたが笑、
私達の知識をお客様たちにも一緒に持ってもらうことで、
さらに曲を楽しんでいただけたらとの思いからでした。
自分のソロはさておき、デュオに関しては、
2台ピアノってこんなにぞくぞくするんだと、軽く感動すら覚えるくらいでした。
特にショスタコーヴィチは、今回のデュオの相方である吉永哲道さんの理解度が凄かったので、
私はそれに乗っかるだけだったのですが、
演奏後にお客様から「怖くて泣けたのは初めて」と言って頂きました。してやったりです笑
哲道さんがついていたゴルノスタエヴァ先生曰く、
「ショスタコーヴィチの音楽には、権力を賛美する側面と、権力を恐れる側面が同時にある」のだそうです。
当然、権力というのは、当時のソヴィエトの最高権力者、スターリンであり、
ショスタコーヴィチはずっとそれを讃えながらその陰におびえ、翻弄されながら生きていた人なのです。
今回コンチェルティーノを弾いたのですが、
私的には脳天気な音楽だと思っていたのです。軽音楽というか。
でも、その奥底に、権力への恐れが含まれているのだとしたら、と考えたら、
一気に曲の理解が深まったのです。この曲、本当は怖い曲じゃん、と。
恐怖の土台の上で、明るく行進する人々。
顔は笑顔でも、実は足元が怖くて仕方がない。
その足元が突然手を伸ばしてきて、自分を引きずり込むかもしれない。
それでも、今は前を見て笑顔で行進。
ソヴィエトって、本当に大変な時代だったんだなと、今さらながら思います。

哲道さんと、バスの渡部智也さんと。逆両手に花。笑
私自身、実はデュオってそこまで得意ではなくて、
ソロの方が、自己完結できるので弾きやすいと思っていたし、
デュオするなら自分が2人欲しいとか思っていたのですが笑。
たぶん、自分と違う要素が音楽に入り込んでくるのが嫌だったのだと思います。
しかも今回の哲道さんは、私とは音楽愛が90度くらい違う人。
同じ場所に留学していたのに、全然違うものを持った人。
さてどうなるかな、と思っていたのですが、
合わせていくうちに、私が思いつかないような意見をもらえたりとかして、
違うものと違うものがぶつかって、新しい発見があるというか、
ある意味あらぬ方へと向かうからおもしろいんだなと初めて分かりました。
来年あたり、ブラームスの2台が出来たらねという話になっていて、それはもっとバトルになりそうですが笑、
それもそれで、楽しみだと思えるようになったあたり、
今回のコンサートでの私の成長だと思います。

おまけ画像。
打ち上げで行った、渡部さんたち御用達の鹿児島・沖縄料理のお店で。
先に帰らなきゃいけない、スタッフをして下さった女性の先輩のリクエストで、
最初のビールの次に頼んだ白くまを見て、「ビールのあてに氷菓はちょっとね」と渋い顔をする哲道さん。
ちゃんと白くまの形をしていたんだと、この写真を見て気づきました。笑
というわけで、ご来場下さった皆様、本当にありがとうございました!