工藤真希子 Official Website

2016年09月20日

中国 / day.5-1 大慶→ハルビン

4日目で仕事は全部終わり、5日目は観光のため、大慶からハルビンへ電車で移動。
IMG_8375.JPG
ハルビンの駅についたらものすごい人で、すでにげんなり。
中国東北地方の中心地で、人口は500万人くらいいるんだそうで、
大慶で感じていたのほほんとした空気はなく、殺伐とした空気に、ちょっと気が引き締まる思い。
車も大渋滞。クラクションが「俺が通るぜ道を開けろ、さもないと轢くぜ」という合図で、
なんだかモスクワを思い出したのでした笑。

まず行ったのが、ハルビンの中心部にある聖ソフィア大聖堂。
IMG_8389.JPG
ハルビンという町は、1900年ごろにロシアとつなぐ鉄道が出来たことで、
たくさんのロシア人が流入し、その一環でロシア正教の聖堂が建てられました。
が、現在では中はハルビンの歴史の写真が飾ってある資料館のようになっていて、
祭壇などは撤去されており、中でケンタのチキンを手をベッタベタにして食べている子供がいて、
これロシアでやったら連れ出されてお説教だわ、とか思ったりしました。

写真の中には日本の文字もいくつか見受けられたりして、
実はうちの母方の祖父母が戦時中満州に住んでいたので、おじいが写っていたりしないかなぁとか思ったり。

うちの祖父は戦前、家庭内の問題でやさぐれて、身を立てるために家を飛び出て、
満州に渡り、状況を見て、中国語が出来ると使える、と踏んで中国語を勉強し、
戦時中は中国語の出来る農業指導員として現地にいたのだそうです。(このあたりはいろいろあり)
日本敗戦後も、中国語が出来たのでいち早く軍が撤退するという情報をつかむことが出来、
通訳として軍のトラックに乗せてもらい、無事帰国することが出来たのだそうです。
実は私、祖父が中国語が出来たということは全く知らず、
そもそも戦時中の話などは2人の祖父ともしたがらず、
今となっては人伝いにしか聞くことが出来ないのが本当に悔やまれますが、
これを機に中国で生まれた伯父(母の兄)に話を聞いて、
自分がミステリーハンターになりたいと思ったルーツが分かる気がしました。笑
今回のお仕事の話は、中国東北地方からのお話だったので、祖父に呼ばれたのかなと。
私が18の時に亡くなってしまったので、他3人より思い出すことが少なくてごめんね。
今回、がっつり思い出したから安心してね。笑

その後お昼で、主催者さんと通訳さんと、まじめな話を。
前日の公開レッスンの際、エリーゼのためにを持ってきた9歳の男の子がいたのですが、
いくつか音間違いをしていて、それを本人に確認させてたら、ひとつ楽譜にミスがあって。
それに気付かずに教えている先生がいるんだなぁと思ったので、
まずは先生の教育からなんじゃないの?という話をさせてもらいました。
私も、難しい曲とかだと気づかないこともありますが、
エリーゼのためにくらいは知っておいた方が良いような気がします。

また、中国では、プログラムなど、先生がこれをやりなさいと与えるそうです。
どうりで、レッスン中「なんでこの曲選んだの?」と言ってもきょとんとされたわけです。

んー、でも、このあたりは日本でも中国でも同じようなことが起きているかもしれません。
むしろ、日本の方が重症かもしれないなとか思ったり。
中国の方たちの方が、プライドがない分、意外とすんなりと変わるかもしれないです。

IMG_8401.JPG
お昼のあと、川へ。松花江という川で、日本の川とは全然違う広さ。
ロシアを思い起こさせますが、なんで同じような地形で気候で、同じような文化が育たなかったのか、素朴な疑問。
この川のたもとには平日とは思えないほどたくさんの人がたむろしていて、
通訳さんいわく、ここでこうしておしゃべりをするのが現地の人たちの楽しみなんだそうです。

IMG_8409.JPG
良く見て頂けると、川沿いのこの通りにはスターリン通りという名前が付いています。
ソ連時代の名残です。近くにはロシア語で書いてある看板もありました。
IMG_8381.JPG
町中にも、ロシアのお土産屋さんがあったり、
IMG_8447.JPG
ロシアのパンが売っていたり、
IMG_8422.JPG
ロシア語でレストランの看板が書いてあったり、
IMG_8448.JPG
ウォッカが売っていたり笑
このあたり、なまりのない中国語が話されるということで、中国語を学びに来るロシア人が多いのだそうです。
ただ、こうして遺産としては残っているものの、文化的には日常にほぼロシア臭は無いのだそうで。
実はハルビンという町、私の大好きなロシア人ピアニストの出身地でもあり、
彼の生まれ故郷に行けるということでひそかに楽しみにしていたのですが、
それっぽい匂いは全くしませんでした。
残念だなと思ったり、ハルビンのたどった歴史を考えれば当然かなと思ったり。

ちょっと書くの疲れたので、続きはまた後日。
とりあえずここまでアップします!
posted by makiko-kudo at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 非日常

2016年09月10日

中国 / day.4 公開レッスン

前の日に飲んだ白酒とリサイタルの疲れでぐっすり寝て、
念願の飲んだ後の甘いおかゆ、もやって、笑、朝9時半から公開レッスン。
9歳から26歳まで、5人の中国人の生徒(学生)さんがレッスンを受けてくれました。

曲は、ショパンの木枯らしだったり、リストのため息だったり、
結構大きな曲が多かったのですが、聴かせてもらって、
音楽の価値観というか、良い音楽の在り方が違うのだな、と感じました。

彼らにとっては、優しかったり綺麗だったりすることが美徳ではなくて、
強かったり激しかったり目立つことが美徳だったりするので、
とにかく派手になればいいって、ピアノを叩く。何度、叩かないー!と言ったことか。
日本人にもそういう人がいたりしますが、
それって美しくないよね、と言えば、直らないにしても理解はしてもらえる。

でも中国人に言っても、きょとんとされるばかりで、
だんだん、彼らにとっての「美しい」の意味が違うのなら、
直すことが良いことなのか、分からなくなったりしました。

しかも、公開レッスン、例のオレンジのピアノでやったので、
楽器を鳴らす、楽器を響かせる、ということが、果たして理解できるのかと思ったりもしました。

ですが、汚い音は汚いので笑、やっぱり直さずにはいられない。
嫌なものは嫌なのー、と、レッスンしてきました笑。

あとで通訳さんとお話ししたら、
中国では人に勝つこと、1番になることが美徳なところもあるとのことで、
だから音楽でも言い負かしたくなるのかな、と思いました。

あと言葉もあるかなと思います。
音楽はもともと言葉から来ているので、
ドイツもの、ロシアものなど、その国の音楽の特徴をつかむには、
その国の言葉が話せるようになるといいのではと常々思っているのですが、
中国語って、高低差が激しくて、急に上がったり下がったりするし、
早口に聞こえて、喧嘩しているように聞こえる。
特に東北の方は、ジェットコースターっぽい言葉。
南の方はそこまで高低差がなく、上海では結構穏やかに感じました。

日本語は、穏やか。通訳さんと日本語で話していたら、朝ごはんのレストランのスタッフさんに、
歌ってるみたいねって言われました。確かにのんきに聞こえるのかも。

日本人の音楽は抑揚がないとよく言われます。言葉がそうだから、音楽もそうなる、ことが多い。
中国人は、常に激している感じ。リストのため息すら、激流のようでした。
ため息って何のため息だと思う?恋煩いだからね!甘いんだからねー!分かる?と、男子生徒を問い詰める私。笑

中国人が悪くて、日本人が正しいということではなく、
どちらもヨーロッパの音楽をやるアジア人として、
日本人も何か中国人から学べるところがあるのでは、と感じました。

公開レッスンのあと、主催者さんのお父様お母様にお礼を言いに行ったら、
主催者さんのおじさまの息子さん(11歳)のピアノを聴いてほしいとのことで、
ちょっと軽くレッスンをしたのですが、この少年が、とっても良かった!
これこうしてみたらもっと良くなるかもよ?と言うと、とりあえずやってみてくれるのです。
才能があるかどうかよりも、吸収力があるかどうかの方が大事だなと痛感。
もちろん、自己があって、これが私(俺)だー!ってのが必要なところもあるけれど、
他人からアドバイスや悪いところを指摘されたときに、柔軟性を持ってそれにトライ出来るかどうか。
この能力があれば、最初がどうであれ、一生良くなっていけるのでは、と思いました。
そしてそれ、私自身にも、大事なことだなと思いました。
年取ると、はっきり言ってくれる人いなくなってくるからね。

で、終わった後、主催者さんのお友達のお宅に、夕食に招いていただきました!
IMG_8352.JPG
マンションだったのですが、扉にこれが貼ってありました。
中国のお正月の時にドアに貼ると、災厄が逃げていくのだそうです。
どの家もこれ貼ってあるから、なんとなく、そりゃ逃げるよなぁという派手さ。笑

IMG_8355.JPG
すごくいい家でした。こちらのご家庭では旦那さんもお料理されるとのことで、
旦那さんが料理している間、奥さんがキッチンをこまごま片づけたりして、いつでもきれい。
奥にいるのが主催者さんの奥さまで、主催者さんは料理全然しないとのこと。笑

あと、中国は喫煙率がとても高い。特に男性。
私タバコダメなので、周りの男性陣は皆さん気を使って下さって、
タバコを吸うときは部屋の外に出てくれたりしたのですが、
おしゃべりはしたいので、部屋のドア開けて身体は外で、中に向かって話すから、
結局煙は入ってくるという笑 まぁ異国で気を使って頂けただけでうれしいですよ笑

IMG_8359.JPG
こちら、その日のごはん。全部美味しくいただきました!
真ん中が、豚肉とチンゲン菜?に辛いスパイスをいろいろ載せ、熱した油を最後に回しかけたもの(モスクワの中華料理屋ドゥルジバで出てきた水煮肉片!)、
手前が玉子を焼いて、それを油で揚げて、その後油と砂糖を混ぜた水あめを回しかけたもの、
左周りに、玉子とトマトの炒め物、干豆腐とジャガイモの炒め物、
棗入りの甘いちまき砂糖どばっとがけ、棗入りの謎の甘い手作りパン、
青唐辛子の煮びたし的なもの、とうもろこし、普通の豆腐とジャガイモの煮物、
エビとシャコのスパイスがけグリル、いんげんと豚肉の煮物。
棗は、砂糖と一緒に食べないと、胃を痛めるらしいですよ。ほんとかな。

前の記事でも書きましたが、油と砂糖とスパイスの使用量がすごい。
寒さに打ち勝つために、甘いもの、辛いもの、油を積極的に摂取するのだそうです。
不思議なのが、モスクワと同じくらいの気候なのに、
どうして全然違う文化が育ったんだろう。そういうの考えるの、好きなんです。

あと、人生初殻付きシャコだったのですが、殻を取ってくれたので、おとなしく食べました笑。
美味しかったです。基本勧められたらとりあえず食べてみる、そんなスタンス。

IMG_8363.JPG
こちら、この日のハルビンビール。いろんな種類があるのですが、
私は昨日に引き続き白酒で、ちゃんぽん危険ということで、ビール飲ませてもらえませんでした。笑

次の日ハルビンに行ってより良く分かったのですが、大慶の人たち、とてもいい人たち。
地方都市だからなのか、外国人が珍しいのか、それとも私が中国人の中に一人放り込まれたからなのか、
通訳さんのホームだからなのか、とても温かくもてなして頂きました。
ここのお宅の子供たちもとてもかわいくて、帰り際に指輪プレゼントしてもらいました。
IMG_8367.JPG

あと、この日いらしていた、主催者さんの弟さん(主催者さんと双子!)の奥さまが妊娠中で、
2人目か〜元気な子を産んでね〜〜とか言っていたのですが、
ふと気づく。中国、一人っ子政策やないか、と。(双子はOK)
で、1人目が女の子だったので、
もしかして男の子じゃなかったら罰せられるとか…と恐る恐る訊いてみたところ、
今年から2人目までOKになったとのこと。
変なところで遠くに感じていた政策を近くに感じたのでした。

やっと大慶編、これで終わり!笑
次の日、ハルビンに移動です。
posted by makiko-kudo at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 非日常

2016年09月07日

中国 / day.3 リサイタル

3日目。リサイタル当日。
昨日も書きましたが、あのオレンジのピアノとともに乗り切らなきゃならないってことで、
ドキドキもしていましたが、ピアニストは出されたピアノで弾かなきゃいけないのが宿命なので、
まぁ仕方ないか、出来ることをがんばろう、とちょっと腹がくくれていました。笑

これ、他の楽器の人にはない感覚だろうなぁ。
その代わり、すんごく合う楽器に出会えることもあるしね。毎回、賭け。
もう今となっては、白黒のピアノが出てきてくれるだけでありがたい気分です。笑

IMG_8295.JPG
こちら、朝ごはんのおかゆ。小豆などの豆が入っていて、このレンゲの上のは蓮の実。
「味が足りなかったら入れてね」といわれて差し出されたのが砂糖。
もともと豆から出る甘みがあったおかゆでしたが、確かにお砂糖入れると美味しい。
飲んだ次の日の朝とかに食べたら美味しいだろうなーとか思いつつ。

で、会場入りする前に。
IMG_8324 (1).JPG
今日のPRフライヤー。
中国語読めないけど、なんとなくわかる感じ。日本青年鋼琴演奏家。

演奏会の写真が、実は手元に一枚もないので、届きましたらまた載せようと思いますが、
写真では音楽は届かないので、多分良く見えてしまうのではないかと思います。
ですが、実際の出来は、本当に納得のいかないものでした。
言い訳したいことはたくさんあるのですが、
でもそれを跳ね返して上手く弾けない自分に本当に腹が立ちました。

と言ったところで、言い訳タイム。させてよー。苦笑

やっぱり、オレンジのピアノが、なかなかな感じで。

ここだけの話、お客さんたちがかなりにぎやかで。
演奏中に動くししゃべるし携帯鳴るし。
動いている人たちを関係者のみなさんが抑えて下さっていたのですが、
その様子が、ピアノに全部映る。笑

日本の演奏会は基本静かで、
でも中国の演奏会は、基本ざわざわしているのだそうです。
田舎になればなるほどそうなようで。
そのトラップにはまったというか、ざわざわをネガティブにとらえすぎてしまったのが良くなかった。

でも後で中国人の通訳さんから聞いたところによると、
この日はすごく静かに聴いてくれた日だったらしく、
演奏会後も、とてもたくさんの方たちが私と写真を撮るために並んでくれました。
どのカメラに向かって笑顔をしたらいいのか分からず、混乱が起きたくらい。

ざわざわしていたのも、私を褒めてくれている声だったらしい。
良い音楽をすれば静かに聴いてくれる、と信じていた私は、
うるさいのは私が良い音楽が出来てないからだ、と思ったわけですが、
良い音楽だからしゃべる、っていうこともあるんだなと、文字通り、カルチャーショック。

お客さんも主催者さんも含め、周りは満足してくれたようで、一安心ではあったのですが、
自分では納得のいかない本番で、率直に悔しかったです。

そして、打ち上げ。
主催者さんのお友達たちと一緒に、火鍋をしてきました!
IMG_8338.JPG
真ん中の鍋の、赤い方が辛くて、白い方が豚骨スープ的な。
赤い方が、本当に辛くて、口の中が痛くなるほどでした。美味しかったけど。
お写真忘れましたが、廊下に付けだれゾーンがあり笑、
ラー油や魚醤、ごまだれ、ネギや香菜など、10種類くらい置いてあって、
そこから好きなものを適当に混ぜ合わせて自分で好みの味を作ります。

お肉は、赤い方が牛肉、ピンクの方が羊肉。
中国東北地方は、天候がモスクワと近く、冬は-30℃くらいまで寒くなるそうで、
寒い地方らしく、油と砂糖と唐辛子と羊肉(マトン)の文化でした。
この羊肉がとても美味しくて…ロシアを思い出しました。
ロシアであんまり美味しい羊肉ってないですが笑、独特の臭みが懐かしかったです。
肉の他には、えのきだけや謎のキノコ、そしてトマトや、
謎の骨の髄(白くてくるくるまかれてるもの)なんかも煮ます。
IMG_8344 (1).JPG
あとは春雨や、手前にあるのは干豆腐を水で戻したものなど。
煮ないものとしては、左手前にある、半月状のもの。これは昨日食べた餅を甘く仕上げたもの。
これが美味しかったー。小さな子どもたちはこればっかり食べてました笑。あと奥にはスイカ。

IMG_8334 (1).JPG
あとすごい勧められたのが、ほおずき的なものの実!(ほおずきかどうかは分からないけど、よく似ていた)
えぇー食べるのー?と思いましたが、食べてみる。笑
さくらんぼみたいな感じで、美味しかったです。
次の次の日、ハルビンに移動する時の大慶駅でもこれを山ほど抱えた人を見たし、
この日もプレゼント的な感じで渡されていたので、多分大人気。

IMG_8339 (1).JPG
そしてビール。ハルビンという町は、ミュンヘン・モスクワに続いてビール消費量が多い町らしく、
大慶のあたりもハルビンビールをいろいろ見かけました。
またみんなすごい飲むのね。ビール瓶を一気に10本とか頼むの。笑
IMG_8345 (1).JPG
さらにふるまわれたのが、このばいじゅ(白酒)というもの。
よーく見てください、アルコール度数、52%。ウォッカより高い。笑
味は…うーん、まぁまぁかなー。でもアルコール度数の高さの割に、
アルコールのにおいがあまりきつくなくて、それなりに飲みやすいお酒でした。
次の日公開レッスンがあったので、そんなに飲まなかったですけどね。ちょびっと。コップ一杯。笑

そんなわけで、撃沈の3日目。やけ食い&やけ酒で1日を終えたのでした。
まだまだ続く。
posted by makiko-kudo at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 非日常
ht