私、実はロシアのこと、好きかと訊かれても、好きです!って即答できないんです。
突然何を言い出したかと思われると思うのですが、
先日モスクワ時代の戦友が沼津に遊びに来まして、
モスクワではつらいことが山ほどあったなぁ、
なんならつらいことばっかりだったなぁ笑、という話をしたのです。
なんだかロシアのことを考えると複雑な気持ちになるんです。
学生に留学の相談されて、頑張ってねとか言いながら、でも大変だからなーとか思うんです。
6年住んで、ロシアの悪いところを山ほど見ました。
これはどの国に留学してもあることだと思うのですが、
だいたい最初3ヶ月くらいはうきうきしてる。
つらいことや難しいことがあってもノープロブレム。
助けてくれる人もいて、つらく当たられても最初だから仕方ないよーって優しくしてくれる人もいて。
あー留学してる!私外国に住んでる!うれしい!が先に立つ。
ちょっと話してみる、本当に時々稀に通じる。
通じた!すごい!楽しい!みたいなビギナーズラックもあって。
変なもの食べて不味い!すら楽しい。
半年経つと、手続きの多さにへきえきし、言葉が本当に通じないことに落ち込み出す。
でもまだ楽しい。他文化に触れている感じ。
時々ある美味しいもの。素晴らしい音楽。私ロシアで生活してる!
1年経つと、日本ではロシアに留学中のピアニストの卵って扱われるのに、
ロシアでは何も一人前に出来ていない自分にいらいらする。
そのギャップに、戸惑う。
2年経つと、徐々に徐々に、自分の気持ちが話せるようになる。
先生の言うこともだんだん分かるようになってくる。
レッスンも楽しい。授業も楽しい。
これがロシアで生活するってことなんだなぁとぼんやり思う。
3年経つと、もっともっと。もっとできなきゃ、もっとやらなきゃ。
核心に迫らなきゃ。でも語学力が足りない。
4年経つと、まぁいいや、通じれば。調べれば。
実は先生も私みたいな外国人には話す言葉が違うことも分かって来て、限界も感じる。
5年経つと、日常。分からないことは分からないって言えばいいし。何でも来い。
ロシアで一人前になれるわけがないと悟る。私は一生、外国人。
でもそんな外国人を差別する人もしない人もいることが分かってくる。
簡単に書くとだいたいこんな感じでした。
本当に、困難なことだらけでした。
長く住むと、その困難に対処できるようになるだけで、つらいことには変わりなく。
しかももっともっと長く住むと、また違う困難が降りかかるのでしょう。
私はそのつらさから逃げて帰って来たのです。
でも、やっぱりロシアのことを悪く言われるとむきになって反論したくなるし、
出来るだけ他人の中のロシアが良いものであるように画策したくなる笑。
だめな部分も、笑いにつなげたくなる。
本気でロシアが悪いと思って欲しくない。たとえロシアが悪くても笑
不思議な感覚。
これを愛と言うのかな、と思います。
だってなんだかんだ言っても、6年も住んでいたんだし。
良いところも悪いところもひっくるめて、全部、受け止める。
ロシアに関してはそんな感情が沸き起こるのです。
ロシアでの6年は今までの人生で一番大変な時期だった、
でも、今までの人生で一番充実した時期だった。
それは自信を持って、そう言い切れます。
もちろん今も満ちてて楽しいけれど。
でもあの頃私は精一杯生きていたなぁと、今脱力(本当の意味で)しながら思うのです。
…書いていて思ったのですが、これって人間同士の愛と似てるのかな。
結婚生活の話を書いているみたいですが、相手は、ロシア、です。笑
2016年02月29日
2016年02月24日
自分の感性くらい
昨日はピアニスト、リフシッツのコンサートに毎年恒例で行って来ました。
今年はラフマニノフのプレリュード全曲。
私がリフシッツを好きになったのがもう10年以上前の話。
ブラームスの変奏曲(op.21-1)を弾いていて、良い録音が無いか探していた時に出会ったのがきっかけ。
他の録音と明らかに気迫の違う演奏にすっかり虜になったのでした。
その後、展覧会の絵を聴きに行って、私はとても感動したのですが、
一緒に行った友達が??ってなってたりして笑、
あぁなんだか私の感覚がちょっとずれてるんだなとか思っていたのですが。
やっぱり今回もそう思いました。笑
会場の皆様の反応が両極端で、とてもおもしろかったです。
展覧会の絵のコンサートの時は10年前。お客さんも少なくて。
それがじわじわと人気が出てきて、今回は紀尾井ホールがほぼ満席。なんとNHKのカメラまで入ってて。
でもリフシッツ自身の演奏の本質はお客さんがいようがいまいが特に変わらなくて。
音楽に対してとても真剣に、愚直に向き合っているその姿勢は昔も今も一緒。
ただ満席とかになると、中には知らないけど何となく来ちゃったとかって感じの人も出てくるんですよね。
私の隣の席の若いカップルもそうでした。笑
彼氏が音大生でピアノの子、彼女もそうかな?どうかな?って感じの若い2人。
始まる前からやばい感じの会話はしていたのですが、
前半終わって、彼女がごねて、帰っちゃいました。
たぶん彼氏の方は聴きたかったんじゃないかなーとか思いつつ、
でも彼女がほとんど拍手してなかったので、
後半までいたとしても、彼女が欲しい音楽は手に入らないだろうなと思ったり。
私も、気に入らない演奏の時はテキトーな拍手しかしない女です。大人げなく。笑
日本ってチケット高いし、最近そういう演奏会には必要以上に行かなくなったけれど。
で、周りの一生懸命拍手している人たちを理解できなかったりします。
でも、今回逆の立場になってみて思ったんですが、
隣の人がどれだけ拍手していなくても、私は好きだし、拍手もする。
そういうものなんだなと初めて分かりました。
もちろん拍手しない自由もあるんだけど、拍手する自由もあるんだなと。
そして、隣のカップルにひとつだけお伝えしたいことが。
後半の方が良かったよ♡もったいなかったね♡笑
こういうことよくあるんですよ。前半よりも後半の方が良いってこと。
しかも今回はop.3-2とop.23のプレリュードが前半で、op.32のプレリュードが後半。
op.23とop.32の間に10年近く間が空いているので、曲としてもop.32の方が密度が濃い。
後半の方が良くなるであろうことは想像に難くなかったわけです。
そこまで想像できなかったことも含め、残念だったね。ってことで。
でもあの彼女さんだったら、結局何も受け取ることは出来なかったかな。
それでもいいんです。
そうやって、自分の好きな演奏家、好きな国、好きな音楽を選び取っていくわけですから。
きっと彼女とは趣味が合わないと思うけど、でも彼女には私に見えない素敵なものが見えるはずなのです。
そうやって世界は出来ている。頑張れ若者たち。
リフシッツはぜひとも、一度で良いので会場で演奏を聴いてみることをお勧めします。
聴いてだめならそれで終わり、一回分チケット代ごめんなさいですが、
私みたいに目が離せなくなる人もたぶんいると思います。そうすると毎年楽しいですよ。笑
そしてこれから先も、おもしろそうなコンサートがある模様。
好きな演奏家は大好きでいいし、好きになれない演奏家は、そういう人もいると思って、スルー。
そうやって、自分の感性くらいちゃんと守っていきたいなと思います。
なかなか難しいけどね。笑
今年はラフマニノフのプレリュード全曲。
私がリフシッツを好きになったのがもう10年以上前の話。
ブラームスの変奏曲(op.21-1)を弾いていて、良い録音が無いか探していた時に出会ったのがきっかけ。
他の録音と明らかに気迫の違う演奏にすっかり虜になったのでした。
その後、展覧会の絵を聴きに行って、私はとても感動したのですが、
一緒に行った友達が??ってなってたりして笑、
あぁなんだか私の感覚がちょっとずれてるんだなとか思っていたのですが。
やっぱり今回もそう思いました。笑
会場の皆様の反応が両極端で、とてもおもしろかったです。
展覧会の絵のコンサートの時は10年前。お客さんも少なくて。
それがじわじわと人気が出てきて、今回は紀尾井ホールがほぼ満席。なんとNHKのカメラまで入ってて。
でもリフシッツ自身の演奏の本質はお客さんがいようがいまいが特に変わらなくて。
音楽に対してとても真剣に、愚直に向き合っているその姿勢は昔も今も一緒。
ただ満席とかになると、中には知らないけど何となく来ちゃったとかって感じの人も出てくるんですよね。
私の隣の席の若いカップルもそうでした。笑
彼氏が音大生でピアノの子、彼女もそうかな?どうかな?って感じの若い2人。
始まる前からやばい感じの会話はしていたのですが、
前半終わって、彼女がごねて、帰っちゃいました。
たぶん彼氏の方は聴きたかったんじゃないかなーとか思いつつ、
でも彼女がほとんど拍手してなかったので、
後半までいたとしても、彼女が欲しい音楽は手に入らないだろうなと思ったり。
私も、気に入らない演奏の時はテキトーな拍手しかしない女です。大人げなく。笑
日本ってチケット高いし、最近そういう演奏会には必要以上に行かなくなったけれど。
で、周りの一生懸命拍手している人たちを理解できなかったりします。
でも、今回逆の立場になってみて思ったんですが、
隣の人がどれだけ拍手していなくても、私は好きだし、拍手もする。
そういうものなんだなと初めて分かりました。
もちろん拍手しない自由もあるんだけど、拍手する自由もあるんだなと。
そして、隣のカップルにひとつだけお伝えしたいことが。
後半の方が良かったよ♡もったいなかったね♡笑
こういうことよくあるんですよ。前半よりも後半の方が良いってこと。
しかも今回はop.3-2とop.23のプレリュードが前半で、op.32のプレリュードが後半。
op.23とop.32の間に10年近く間が空いているので、曲としてもop.32の方が密度が濃い。
後半の方が良くなるであろうことは想像に難くなかったわけです。
そこまで想像できなかったことも含め、残念だったね。ってことで。
でもあの彼女さんだったら、結局何も受け取ることは出来なかったかな。
それでもいいんです。
そうやって、自分の好きな演奏家、好きな国、好きな音楽を選び取っていくわけですから。
きっと彼女とは趣味が合わないと思うけど、でも彼女には私に見えない素敵なものが見えるはずなのです。
そうやって世界は出来ている。頑張れ若者たち。
リフシッツはぜひとも、一度で良いので会場で演奏を聴いてみることをお勧めします。
聴いてだめならそれで終わり、一回分チケット代ごめんなさいですが、
私みたいに目が離せなくなる人もたぶんいると思います。そうすると毎年楽しいですよ。笑
そしてこれから先も、おもしろそうなコンサートがある模様。
好きな演奏家は大好きでいいし、好きになれない演奏家は、そういう人もいると思って、スルー。
そうやって、自分の感性くらいちゃんと守っていきたいなと思います。
なかなか難しいけどね。笑
2016年02月21日
目指せフォルティスト
今日、とある演奏会に行って来ました。
チャイコフスキーのピアノコンチェルト1番だったのですが。
私2階席でひっそり聴くのが好きなので、席のせいもあったかもしれませんが、
ピアニストが頭をぶんぶん振って、力を入れてる感じなのに、全然音が飛んでこない。
フォルテがフォルテに聴こえない。楽器が鳴っていない。
私はこういう時、ピアノのどこが鳴っているかを観察します。
音が飛んでない場合、ピアノの譜面台が普段置いてあるあたりで音がはじけて終わってしまって。
音が飛んでくる時は、ピアノ全体が先まで鳴り響いて、
ピアノの箱の中が音で満ちていることが多い気がします。
たぶんそういう場合、ピアノの弦が先の方までちゃんと振動しているのだと思います。
まだ10代の若いピアニストだったので、
きっとこれから身体が出来てきたら上手くいくとは思うのですが。
でもこのピアニスト、pがうまかったんですよ。
アンコールでショパンのエチュードのop.25-1を弾いたのですが、非常に美しかった。
試験だったら5++だね!くらいの。笑
で、ふと思ったんです。
好みのピアノ(弱音)を出せるピアニストはいても、
好みのフォルテ(強音)を出せるピアニストって、そうそういないなぁと。
綺麗で丸くて伸びるフォルテ。
それでなくても好きなピアニストって生きてる人だとほとんどいないのに。苦笑
強い音を出すのって、怖いんですよね。ばちゃん!痛い!ってなってしまいそうで。
聴いている人を不快な気分にさせるのは圧倒的に痛い強音の方が多い。
他人に迷惑をかけやすいのも強い音。伴奏とかね。笑
でも、ピアノって、やっぱり大きな音が出るように作られた楽器で。
とっても小さな感情を殺したppから、ホール全体に鳴り響くffまで1人で出せるのがピアノのいいところ。
では、どうしたら痛くないfが出せるかと考えてみると。
やっぱり手首かなと思います。手首が固まっていると痛い音になるので、
手首には衝撃を吸収するクッションになってもらいます。
でも外に見えないくらいの、柔らかさで。低反発的な。笑
不思議なもので、手首が固い子は運動とかもたいていダメ。縄跳びとか出来ないのですよ笑
中高生の時、ハンドボール投げとか、しましたよね?
あれ、腕から力を抜いて、手だけちゃんとボールを握って、
手首で方向性だけ決めてあげれば、力入れなくてもちゃんと飛びます。
固める必要は全然ないのです。ピアノの音も、それと同じ原理かと。
楽器で考えてみると、例えば大太鼓を叩くとき、
ばちをぎちぎちに握って力いっぱい叩いても太鼓は響きませんよね。
…なんだけどな!理論だけでは上手くいかないのが音楽の不思議なところでもあるのですが。
ということで、ピアニストとは言いますが、その逆?で、目指せ、フォルティスト。笑
私は、良いフォルテが出したいのです。
人を感動させる凄まじい音と、人を不快にさせる痛い音。どちらもフォルテ。
その紙一重の線がどこにあるのか、探していきたい。
もちろん、そのfを際立たせる、素敵なpの音も出したいのは、もちろんそうなんだけど。
聴いている人が不快にならないギリギリの凄いfが出せるようになりたいな、と。
えーとつまり、私が痛い音出してたら、言って下さいね。本当に。本気で。笑
チャイコフスキーのピアノコンチェルト1番だったのですが。
私2階席でひっそり聴くのが好きなので、席のせいもあったかもしれませんが、
ピアニストが頭をぶんぶん振って、力を入れてる感じなのに、全然音が飛んでこない。
フォルテがフォルテに聴こえない。楽器が鳴っていない。
私はこういう時、ピアノのどこが鳴っているかを観察します。
音が飛んでない場合、ピアノの譜面台が普段置いてあるあたりで音がはじけて終わってしまって。
音が飛んでくる時は、ピアノ全体が先まで鳴り響いて、
ピアノの箱の中が音で満ちていることが多い気がします。
たぶんそういう場合、ピアノの弦が先の方までちゃんと振動しているのだと思います。
まだ10代の若いピアニストだったので、
きっとこれから身体が出来てきたら上手くいくとは思うのですが。
でもこのピアニスト、pがうまかったんですよ。
アンコールでショパンのエチュードのop.25-1を弾いたのですが、非常に美しかった。
試験だったら5++だね!くらいの。笑
で、ふと思ったんです。
好みのピアノ(弱音)を出せるピアニストはいても、
好みのフォルテ(強音)を出せるピアニストって、そうそういないなぁと。
綺麗で丸くて伸びるフォルテ。
それでなくても好きなピアニストって生きてる人だとほとんどいないのに。苦笑
強い音を出すのって、怖いんですよね。ばちゃん!痛い!ってなってしまいそうで。
聴いている人を不快な気分にさせるのは圧倒的に痛い強音の方が多い。
他人に迷惑をかけやすいのも強い音。伴奏とかね。笑
でも、ピアノって、やっぱり大きな音が出るように作られた楽器で。
とっても小さな感情を殺したppから、ホール全体に鳴り響くffまで1人で出せるのがピアノのいいところ。
では、どうしたら痛くないfが出せるかと考えてみると。
やっぱり手首かなと思います。手首が固まっていると痛い音になるので、
手首には衝撃を吸収するクッションになってもらいます。
でも外に見えないくらいの、柔らかさで。低反発的な。笑
不思議なもので、手首が固い子は運動とかもたいていダメ。縄跳びとか出来ないのですよ笑
中高生の時、ハンドボール投げとか、しましたよね?
あれ、腕から力を抜いて、手だけちゃんとボールを握って、
手首で方向性だけ決めてあげれば、力入れなくてもちゃんと飛びます。
固める必要は全然ないのです。ピアノの音も、それと同じ原理かと。
楽器で考えてみると、例えば大太鼓を叩くとき、
ばちをぎちぎちに握って力いっぱい叩いても太鼓は響きませんよね。
…なんだけどな!理論だけでは上手くいかないのが音楽の不思議なところでもあるのですが。
ということで、ピアニストとは言いますが、その逆?で、目指せ、フォルティスト。笑
私は、良いフォルテが出したいのです。
人を感動させる凄まじい音と、人を不快にさせる痛い音。どちらもフォルテ。
その紙一重の線がどこにあるのか、探していきたい。
もちろん、そのfを際立たせる、素敵なpの音も出したいのは、もちろんそうなんだけど。
聴いている人が不快にならないギリギリの凄いfが出せるようになりたいな、と。
えーとつまり、私が痛い音出してたら、言って下さいね。本当に。本気で。笑